交通事故にあってケガをしてしまったときには、入院や通院のため仕事を休まなければいけないことがありますよね。
この場合、欠勤した分だけ給料が減ったりしたことで生じる「休業損害」は、相手方に賠償請求することができます。
会社員の方であれば、お仕事を休むことで給料が減りますから、休業したことによる損害が生じていることは感覚的に分かると思います。
ですが、休業損害の請求に必要な書類の見方や損害の計算方法についてきちんと理解していないと、保険金が十分に支払われたのかどうか判断がつきません!
この記事では、会社員など給与所得者の休業損害について、賠償請求に必要となる書類、休業損害の計算方法などについて解説していきます。
休業損害の休業損害に関する知識をつけ、不利益をゼロにできるようにしましょう!
休業損害証明書が必須!
休業損害を相手方保険会社に請求するためには、“休業損害証明書”を提出する必要があります。
休業損害証明書とは、休業損害額を計算するために必要な情報が記載された書類でです。就業先に作成してもらうものです。
加害者側の保険会社(対人賠償保険)から休業損害証明書のひな型を受け取り、就業先に提出するなどして作成してもらうことになります。
ここでは、実務上よく使われている休業損害証明書を掲載しておきます。
次の項からは、この休業損害証明書の記載にそって休業損害の計算方法を詳しく解説していきます。
休業損害=1日あたりの基礎収入×休業日数
いうまでもないことかもしれませんが、休業損害の賠償請求をするためには、損害額がいくらなのかがわからなくてはなりません。
休業損害とは、事故にあわずに働いていれば得られていた収入と実際に得た収入との差額のことを指します。
そうすると、休業損害の額を計算するためには、“事故にあわずいつもどおりに働いていれば得られていた収入”
を把握する必要があります。
この得られていたはずの収入を計算する式は、一般に
1日あたりの基礎収入×休業日数
とされています。
それでは「1日あたりの基礎収入」「休業日数」はどのように把握すればよいのでしょうか。
ここからは、既に掲載した“休業損害証明書”の記載に沿って解説していきます。
1日あたりの基礎収入
事故直近3か月間の支給額÷90日
まず休業損害証明書の第5項をご覧ください。
「5.自動車事故による休業がない直近3か月間の月例給与(賞与は除く)は下表のとおり」との記載のとおり、事故の直近3か月間の給与を詳しく記載する欄が設けられています。
すでにお分かりだと思いますが、1日あたりの基礎収入は、事故の直近3か月間の給与をベースに算定されるのが原則となります。
実務上よく用いられる計算式は、
1日あたりの基礎収入
=事故直近3か月間の支給金額÷90日
となります。
”わる数”は「90日」?
1日の基礎収入を算定するときによく使われる計算式は「事故直近3か月間の支給金額÷90日」である
とご紹介しました。
ですが、この計算式をみて疑問に思ったり、納得できなかったりする方もおられたのではないでしょうか?
この計算式では、事故直近3か月間の給与を3か月間の日数に相当する「90日」でわることになっています。
これは、皆さんが実際に働いた日数だけではなく、休日など実際には稼働していない日数も含んだ数字です。
稼働1日あたりの基礎収入を正確に計算するためには、「90日」という期間ではなく、「稼働日数」でわる必要があるともいえそうです。
この点については、別記事でより詳しく解説する予定です。
まずは、「1日あたりの基礎収入=事故直近3か月間の支給金額÷90日」をキチンと抑えておきましょう!
休業日数
休業障害証明書の書き方
次に、休業損害証明書の第1~3項をご覧ください。
この記載欄からも分かるとおり、休業期間、休業の種類ごとの日数を数字で記入し、「欠勤」「有給休暇」や「勤務先の所定休日」などの休業の種類を〇や◎などのマークで記入する形式となっています。
就労先に休業損害証明書を作成してもらったら、欠勤日数や有給休暇日数の数字が〇や◎の数と一致しているかどうか確認するようにしましょう。
”有給休暇”も補償される!
休業日数に関し、知識として抑えておいてもらいたいのは、
「有給休暇(◎)」も休業による損害と評価され、賠償の対象になるということです。
先ほどもすこし触れましたが、休業損害とは“事故にあわずいつもどおりに働いていれば得られていた収入と実際に得た収入との差額”をさします。
素直に考えると、有給休暇を取得した場合には収入が減るわけではありませんから、休業損害の定義に当てはまらず、補償されないのではないか?という疑問がでてきますよね。
実際に、有給休暇とっても減収がないから休業損害として賠償請求することはできないと勘違いしている方が意外にも多くいらっしゃるようです。
ですが、有給休暇を取得した場合にも、休業損害として補償の対象になるという裁判例があり、実務上も確立されています。
これはぜひとも知識として抑えておいてください!
有給休暇を取得して減収がない場合でも休業損害として請求できる!
まとめ
ここまで解説してきた内容を簡単にまとめます!